ガチャッ…。
願い空しくその音がして、廊下の灯りが暗い談話室の入り口を照らした時、神田のこめかみに冷たい汗が走った。
「かくれんぼは終わりだぜ、エクソシスト様」
聞いた事のある声…もっと他人に興味を持っていたのなら、フードに隠された顔を想像する事も出来たのだろうか…と、目前の危険を前に心はどこか冷静で、彼は正気を保つ為に唇を噛み締めた。
音ばかり冴え渡る中、いくつもの靴音が近付いて来る。
同時に、誰が発しているとも判別出来ぬ笑い声が重なって行った。
「生意気なエクソシスト様はどこかなァ…」
ソファーの座面に伏せる神田の姿を捉えながら、大男は太い声を裏返す。
「お…お前…ら…」
ピクピクとようやく動かせた指先から、しなやかな黒髪だけが逃げ出した。
「…探索部隊の…分際で…っ…俺に…」
「ん? なになにィ? 俺にこんな事してタダで済むと思うなよォとか言いたいのかなァ?」
気色の悪い声は生臭い息と共に神田の耳を撫で、次の瞬間…彼の頭皮に激しい痛みが走る。
「く…ぁっ…!」
後ろで結い上げていた髪を引かれ、神田の上体はマリオネットのようにブラリと下げられた。
半裸のまま晒しだけを巻いた胸が、破れ鐘のように高鳴る。
「…触る…な…」
03>