ひとしきり殴られて、これほどの痺れの中で痛覚だけは生きている事に苦笑する。
 殴る男の荒い息が、別の興奮に結びついている事にはまだ気付いていなかった。

 もうそろそろ終わるだろうか…と高を括っていた神田の肩に、ふと誰かの手が伸びる。

「なァ、コイツ全然堪えてないぜ」
「痛みなんか慣れッコて感じだな」

 そう言った男の口の中で、唾液に濡れた歯がギラギラと光って見えた。

「フン…せっかくの美人だ。別の方法で痛めつけてやった方が…いいんじゃないのかァ」

 ねっとりと響いた声に、男達が鼻息を荒げる。

「ハハッ、そういう提案はボコる前にしてくれよな。もう顔ボロボロだぜ」

 男は床に膝をつきながらそう言って、神田の顔を他の仲間達に向けて見せた。

「心配ないさ、暗くてほとんど見えないしな。…ははっ、お互い好都合ですなァ神田殿」
「さァ…夜が明けるまでに何人こなせるかな? 天下のエクソシスト様なら、このくらい余裕かな?」

 未だこの先の行方が見えていなかった神田は、ベルトを抜かれた感触でようやく気付き、釣り上がった猫目を極限まで開いた。

「やめ…ろ…」

 無機質な床に触れていた背に、ジワジワと恐怖が染み…赤く腫れた肌さえも冷たく変える。
 ぼんやりと発光する白い月の下で、蠢く頭は皆一様にフードの形をして、一人また一人と彼の足元に寄って来た。

 ベルトを抜かれたパンツは簡単に引き下ろされ、黒い布地と共に下着が肌を滑る。
 小刻みに震える雪肌が露わになった時、彼は鉄の味の唾を飲み込んだ。



 自分の耳さえ裂くような絶叫…。
 それが本当に口から発せられ、耳で聞いた物なのか…惑乱するばかりで見極める事は出来ない。



 散瞳した珠玉の瞳の中で、屈辱の一夜が幕を開けようとしていた。

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HOUSEKI-HIME N