「毎年お前が来ていたと、執事から聞いた。勝手な真似しやがって、何様のつもりだ」
「──…俺にとっては一番大事な日だからなぁ…けどお前に逢えねぇ以上どこ行っていいかわかんねぇし、XANXUSを産んでくれて感謝するぜぇ…って、ここに言いに来るしかねぇだろぉが」
キンモクセイの匂いの中で、胸が詰まる思いだった。
凍らせられた挙句に立ったまま重金属の壁に覆われ、鎖をかけられて封じられたこの男に──8年もの間、近付く事はおろか姿を見る事さえ叶わなかった。
ここで独りキンモクセイの匂いを嗅いで、苦渋を味わった日々が……今まさに蘇る。
「ドカスが──泣くな」
ボスの言葉にハッと我に返り、息を呑む。
ウイスキーを煽る横顔が滲んで見えて…酷く焦った。
「な、泣いてなんかいねぇぞぉぉっ」
「そこまで飲みたいか?」
「……ぁ?」
「仕方ねぇ、施しだ」
手の甲で目元をぐいぐいとやっていると、視界がふと暗くなる。
気付けば目の前にボスの黒髪や顔が迫っていて、唇が突然重くなった。
「──ッ…!」
塞がれた唇は強引にこじ開けられて、口内の奥深くまでウイスキーを注ぎ込まれる。
ボッと火が点くように熱いのは、アルコールのせいなのか燃える欲望のせいなのか…判別出来なかった。
「……っぁ、ぅ……」
唇にかかる圧力が増して、俺は芝の上に押し倒される。
悦びに震えるあまり動かない舌を絡め取られ、思わず身を仰け反らせた。
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