「──…人の体に火ぃ点けといて、そりゃぁねぇぜ」
「褒美が欲しけりゃ、相応の働きをしろ」

 ボスは言いながら俺の髪を掴んで、ぐいと引き起こす。
 そして、片眉をわずかに上げた。

「家光の部下の動きが、間もなくわかる」
「!」
「同時に、ハーフボンゴレリングの行方も知れる」
「ボスッ」
「奪い取れ」
「──…!」

 言わずと知れた…重大な任務だった。
 額の些細な痛みが、一瞬にして吹っ飛ぶ。

 他の誰でもなくこの俺に──そう思うと、抱かれる事に勝る喜びが全身を駆け抜けた。

「褒美はそれからだ」

 ボスは少しだけ口角を上げて、俺の唇に触れる。
 ウイスキーと唾液を拭うように親指でなぞり、最後は顎を掴んで思い切り突き放した。

「誓うぜぇ、ボスッ! 指輪を持ち帰って改めて、誕生祝いだぁぁぁ!!」

 俺は芝に半分這いつくばりながら、声の限り言い放つ。

 大空のリングは、俺のボスにこそ相応しい。

 祝杯の盃を高らかに上げる指に、燦然と輝く様が──目に見えるようだった。


Fin.

Novel>



HOUSEKI-HIME N