「ス、スクアーロ?」
「お前のケツを狙ってるカスどもは、ゴキブリ並みにしつけぇんだぜぇ」
「──…ぇ? ぇぇっ!? ケツ!? 俺のお尻っ!?」
「意外そうに言ってんじゃねぇよ。テメェはいい加減に、お目目パッチリな可愛いツラを自覚しやがれ」
「ええぇぇっ…ありえねーだろっ! 俺は男だぜっ!」

 そう言った瞬間、頬の肉をギュゥッと掴まれた。
 それはもう容赦なくて、唇ごと引っ張られる感じだった。

「ぃっ、ふへぇぇぇっ!」
「男のケツを掘りたがる奴がいる事を、テメェはよぉぉく知ってんだろぉが!」
「──…ふっ、ぅぐぐっ!」
「いいかぁぁ、この学校のカスどもは乱れ切ってて、どんな病気持ってるかわかりゃしねぇんだ。うかつな真似して掘られやがったら、二度と俺には乗せねぇからなっ」

 引っ張るだけ引っ張った挙句に最後は叩いて、スクアーロはやっと俺を解放した。
 顔が半分でろでろに伸びたんじゃないかと思うくらい、口がうまく動かない。

「──……ごめ、ごめんなっ……気を付ける…!」

 何とかそれだけ言えて、俺は胸を撫で下ろす。
 思い起こせば──…それっぽい襲われ方をした事が何度もあったような気がしてきた。
 でもいつもリボーンの力添えで何とかなっていて…そして気付くと、そういう奴らは後日スクアーロに伸されていた。

「偶然じゃ…なかったのか……?」

 呟いた俺の声が、聞こえたのか聞こえなかったのか…スクアーロは水音一つ立てずに潜ってしまう。

 鮫の名は伊達じゃなくて、まるでフィンでも着けてるような、静かで速い見事な泳ぎ──…しかも息継ぎ無し……

 プールの端まで泳いだスクアーロは、頭のてっぺんから肩まで出して、フゥッと息をつく。
 余裕綽々、あと倍は潜っていられそうな雰囲気だった。

 故郷で──キャバッローネのプライベートビーチや屋敷のプールで、子供の頃から親父とよく泳いだ。水泳だけは負けない自信があったのに、どうしてこう何もかも……

「スクアーロッ! 俺と勝負しようぜ!」

 学校の連中にそういう目で見られていた事も、リボーンやスクアーロに密かに守られていた事も些かショックで、気付けば叫んでいた。

 夜空に響いた俺の言葉に、遠いスクアーロが俄かに笑う。
 勝負と聞いて、血が騒いだのかもしれない。

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HOUSEKI-HIME N