シャワーを浴びてバスルームを出ると、へなちょこディーノがベッドでうつ伏せになっていた。
パンツ一枚の姿で足裏を天井に向け、空を切るように交互に動かしている。
ノートの上に置いたプリントを睨み下ろし、顎の先に当てたペンをカチカチと鳴らしていた。
「う゛ぉ゛ぉ゛ぃ人のベッドで何やってんだぁ!?」
「あ、スクアーロ…ごめん、待ってる間に課題をやっちゃおうかと思って。明日提出なのに全然終わらねーんだ」
「課題?」
「うん、もうやった? こういうの難しいよな」
「そんなもん、やった事も出した事もねぇよ」
俺がそう言うと、へなちょこは「ハハ…」と気の抜けた顔で笑う。「スクアーロらしい」と言わんばかりな顔だったが…あんな学校で、課題なんか真面目に提出する奴の方が珍しい。
「どんな課題だぁ」
「どんなって…同じクラスなのに──」
苦笑混じりに言いながら、奴は身を起してプリントを見せてくる。
そこには設問と回答枠が複数あって、一つの枠だけきっちりと書きこまれていた。
「なんだそれ、『私の短所』?」
「己を知り、分析し、自己啓発を促すってやつだぜ。短所の欄は簡単に書けたんだけど、長所がわかんなくてさ」
「くだらねぇぇぇ」
「そう言わねーで一緒に考えてくれよ。なぁ、俺の長所って何? どこか少しくらい、いいとこある?」
いつの間に手伝う事になったのか──俺が髪を拭きながらベッドに腰掛けると、へなちょこは捨てられた子犬のような目で見つめてくる。
「お前の長所……」
「う、うん。少しはあるよなっ?」
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