奴は緊張と期待に満ちたような顔で、言うなりペンを持ち直す。
俺が答えると信じ切っているのか、早速長所の欄にペン先を向けた。
「顔だな」
真っ先に思いつくのはそれだった。
つくもんついてるのが不思議なくらいの…美少女ヅラが目の前にある。
左右対称で整った顔立ちは、血筋や育ちのせいか…表情をどう変えても品性が欠けない。
長い睫毛は扇状にカールして、とにかく目がデカい。
肌は赤ん坊みたいに清浄で、頬はすぐ紅くなる。
唇はまるでチェリーで──俺は、こんなに可愛い顔を他に知らない。
「──…いや、それ無理。そんなん書けねーって。いったいどこのナルシストだよ…」
「だったら髪かぁ。長所欄に『金髪』って書いとけぇ」
「もうっ、真面目に考えてくれよっ! リボーンに訊いたらズバリ『無いな』とか言われちゃうし、これでも結構傷付いてるんだぜ」
「う゛ぉ゛ぉ゛ぃ、何で俺がテメェの課題を手伝わなきゃなんねぇんだぁ」
「……課題のためっていうより…スクアーロは、俺のどこが好きなのかなぁって気になるし」
「好きなんて言った憶えはねぇぞぉぉ」
「でもほらっ、やっぱりこうしてエッチとかするのは嫌いじゃないって事だし、スクアーロみたいにスッパリした性格だと、好きか嫌いのどっちかしかないはずだよなーって思うじゃん!」
「──…」
案外よくわかってる──…と言いたいところだが、好き嫌い以前に、眼中に無い奴がほとんどだ。
まあ、そういう奴とは寝ないけどな…──
「たとえば…リボーンは気付いてねーけど、スクアーロだけは知ってるとかさ、そういう長所があればなーって思ったんだけど…」
「──…そういや一つあったなぁ」
そんな俺の言葉に、奴は目を輝かせる。
宝箱を開ける寸前の…ガキのような顔だった。
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