『Dino』

 リング争奪戦から二年──キャバッローネファミリーとヴァリアーは共同戦線を張り、然る新興勢力を抑えるべく暗躍していた。

「ボス──今日こそ言わせてもらうが、こんなのは納得いかねーぜ。共同戦線とは言っても名ばかりで、ヴァリアーは今うちの手足として動く立場の筈だ。会合ならあっちが出向くのが筋ってもんだろ」

 腹心であるロマーリオの言葉は、ディーノにとって耳の痛いものだった。
 車はすでにヴァリアー本部に到着しており、あらゆる意味で緊張が走る。

「XANXUSにそんな常識求めても無駄だし、肝心の仕事はきっちりこなしてくれるからな、いいとしようぜ」
「ボス、それじゃ示しがつかねー。キャバッローネがボンゴレの一部隊になめられてる事になるんだぜ。XANXUSと言えども上からの命令を完全に無視する事は出来ねーんだ。向こうがしびれを切らして腰を上げるまで、ボスはどんと構えてるべきじゃねーのか」
「──…ああ、わかってる」

 ディーノはそれだけ言って車から降りると、地下駐車場から上階に続くエレベーターの前に立つ。
 訪問日時を事前に連絡しており、ゲートこそ難なく開かれたものの…出迎える人間は一人もいなかった。

「今日も誰もいねーな。また勝手に上がるか…」

 ディーノが呟くと、ロマーリオは深い息をつく。呆れ混じりでありながらも、どこか温かい表情で笑った。

「まあ、何を言っても仕方ねーんだろうな。初恋ってのはしつこいもんだ」
「ロマーリオッ」
「ボスの考えてる事くらい、だいたいわかるぜ」

 複雑ながらも…ここに来るのが決して嫌ではない気持ちと、緊張する理由の一つを見抜かれて──ディーノは面映ゆく俯く。

「……私情挟んじまって、悪ぃな」
「いや…ボスの判断に従うのが部下の務めだ。愚痴を言ってすまねーな。私情に限らず考えだってあるんだろ?」
「ああ、筋だの面子だのを守って、XANXUSが動くのを悠長に構えてる状況でもねーんだ。それは事実なんだぜ」
「どうにも癪だが、結果が大事なのはわかってるぜ」

 ロマーリオと顔を合わせたディーノは、共に苦く笑う。
 エレベーターに乗り込んで、上階へと向かった。

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