「カス……」
うなじにあった指を首筋へと滑らせ、絹の如き肌を楽しむ。
フェイスラインをくすぐり撫でると、スクアーロは子猫のように首を曲げた。
「……っ、ぁ……ボス…ッ」
血の通う肌は温かく、指先で感じられるほど火照っている。
XANXUSはその温度を確かめながらスクアーロのシャツに触れ、ボタンを上から二つ、器用に外した。
「──ボス…ッ、待ってくれ…跳ね馬が…っ」
「!」
もうすぐ来るから…と続けそうな唇は、声と共に震えている。
刹那の間に、それは愛しい物から憎い物へと変わり果て、最早目にするのも厭わしくなった。
「ぅっっ…!」
思わず、片手で首を絞め上げていた。
指の腹を打ち返してくる頸動脈を……出来る事なら引き千切って、二度とその名を言えないようにしたくなる。
「カス、テメェは誰の物だ?」
「ぅっ、ぐ……ぁ、ボス…ッ、そんなの──決まって…!」
「決まって──何だ?」
「俺は、お前のもんだぁ、ぁっ……ただ、今はっ……」
「カスの分際で俺に指図するな。お前をいつどこでどうしようと、俺の自由だ」
「ぐっぅぅ…!!」
XANXUSはスクアーロの首を一際強く締めて、一気に手を引く。
息をつく僅かな間も与えずに、口元を押さえつけた。
「んぐっ、ぅっ!」
「余計な口がきけねぇように、完全に塞ぐしかなさそうだ」
苦しげな顔を見ても、罪悪感など少しも湧かなかった。
眉を寄せて歪める顔さえ美しく──苛立ちが募る。
自身が嫉妬に乱されている皮肉な現状を、認めたくなかった。
「カス、俺の足元に跪け」
「……っ!?」
「──その忌々しい口を、お前の好物で満たしてやる」
XANXUSは口端を上げて、意識的に笑みを作りだす。
手のひらで感じる唇の膨らみを──大きく見開かれる瞳を、余す所なく縛りたかった。
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