「……ん、ぅぅっ」

 ようやくまともな呼吸が戻ってくる中、スクアーロは息をするよりも先に、くつろがれたXANXUSのズボンに手を掛けた。張りつめた屹立を完全に収めるのは困難だったが、強引にでも押し込んで、何とか体裁を整える。

「スクアーロ……」

 最早間近で聞こえるディーノの声音には、そんな行為に些か驚いている気配があった。

「失せろ」

 命じられるまでもなく、すぐに立ち去るつもりのスクアーロだった。それでも口元の唾液は拭いたくて、振り返る前にごしごしと手の甲を押し当てる。

「!」

 次の瞬間、視界の端を黒い物体がよぎった。
 痺れを切らしたXANXUSの足が、目の前に迫ってくる。
 190cmを超える体躯に相応しい大きな靴底は、いくら蹴られても流石に慣れず、恐怖や痛みが意識を駆けた。

「ぐぁぁっ!!」

 肩に思い切り入った靴に蹴り上げられて、スクアーロの体は床から浮くように吹っ飛ばされる。

「スクアーロッ!!」
「ぅ゛ぁ゛あ゛ぁぁっ!!」

 普段ならば、床に腰や背中を打ちつけるところだった。
 されど今は思いがけず、衝撃を感じられない。
 背中を何かにすっぽりと包まれたようで、蹴られた肩以外のどこにも痛みがなかった。

「──!?」

 覆いかぶさる影を見上げると、眩いばかりの金髪が視界に飛び込んでくる。

「……っ!」
「スクアーロッ! 大丈夫かっ!?」
「触んなぁぁっ!」

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