ロマーリオと自分を隔てた認識が明確にあったらしく、ディーノは敏捷さをたちまち失って、足をもつれさせた。
「わっ、とっ……わわわっ…!」
目の前で繰り広げられる間抜けな光景にうんざりしながら、スクアーロは溜息をつく。こんな事がいったいどれだけあっただろうか…と、考えているうちにつまずきながら追いつかれて──何となく手を差し伸べてしまった。
前方に転げかかっているディーノの両手を、自分の両手でスッと受け止める。
指先に掛かる重さは以前とは大きく違っていたが、右手でだけ感じられる温もりは、相変わらずのものだった。
「スクアーロッ、ありがとなっ! 大丈夫かっ!?」
「お前にだけは心配されたくねぇぞぉ…つーか、手ぇ放せぇ」
目線がほとんど変わらないほど高くなるまで待ち、手を引こうとすると、それはすでにしっかりと握られており──自由にならなかった。
「なぁっ、なんで…XANXUSはなんだってあんなふうにお前を扱うんだっ!? こんなのっ…あんまりだ! 愛がねぇっ!」
「うるせぇぇ! 放せっ!」
「嫌だっ!」
放せと言えば言うほど手はよりしっかりと握られて、体ごと壁へと押し寄せられる。
「う゛ぉ゛ぉ゛ぃっ!」
「俺が救えなかったばっかりにこんな…! やっぱりお前は、あの時うちに来るべきだったんだっ!」
「あ゛ぁ゛ぁ゛!? 何ほざいてんだテメェ、寝ぼけてんのかぁ?」
「今からだって遅くはねーんだっ!」
少年期と変わらず、星が零れそうなほど輝く瞳で見つめられ、熱く語られても…スクアーロはまったくついて行けなかった。
それでも相手はやはり大ファミリーのボスで、時に抜けてはいても、一人前に成長した男だった。
ディーノに対し立場上本気の抵抗は出来ずにいると、強い腕と広い胸に押され、壁に縫いとめられてしまう。
両手首は握られたままで、まるで磔のように左右に広げられた。
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