「スクちゃんて──…男のクセに男心がわかんないのねぇ」
「あ゛ぁ゛ぁ゛!?」
「着眼点は悪くないけど、根本的なとこを履き違えてるわぁ」
「くだらねぇ! 男心なら、オカマのテメェよりよっぽどわかってるぜっ!」
「ああ…そうね。それはわかってるんだわきっと。わかってないのは恋心ねっ」

 遥か上からウフフッと笑いかけられて、スクアーロは肌が粟立つのを感じた。

「こ、恋心だぁ…?」
「まあ元カレの方はいいとして、ボスのことは気をつけなさいね。なんたってああ見えて凄く繊細なのよっ」
「──…それは知ってる」
「他の男に簡単にキスされて、しかも嫌がらないなんて問題よぉ」
「……!」

 ルッスーリアはさらりと言ってのけたが、スクアーロはその言葉にぎくりとする。言われるまで忘れていたものの…唇には確かに、ディーノの名残があった。

「んなわけねぇぇ! 嫌がってんに決まってんだろぉぉがっ!」
「あら、でもほっぺが紅いわよぉ」
「それはボスと途中までしたからだぁぁ! 俺は絶対にっ、ボス一筋だぁぁ!!」

 スクアーロは唸るように誓って、ギュッと目を瞑る。

 XANXUSで占めた意識の中に少しだけ、ほんの少しだけ…隅でちらつく邪魔な顔が見えて──その顔を叩き潰すべく、壁に拳を打ちつけた。

「うぜぇぇぇ──…消えろぉぉぉ……!」



Fin

Novel>



HOUSEKI-HIME N