「う゛ぉ゛ぉぉい!」
ありえねぇぇぇ! これはない! ダメだ……おかしい。
手にキスを受けんのは、ボス様の仕事だぜぇぇ!
「カス、古城で結婚式だ」
「──…け、けっ??」
ボスは屈みこそしなかったが、俺の指先に唇を寄せたままで…さらに二度三度とキスを繰り返した。雰囲気と体格で誤魔化されがちだが、実は結構線の細い綺麗な顔が至近距離にあって──心臓が弾けまくる。
「王の妻にしてやる」
「ボス……」
「文句あんのか?」
全身の細胞が痺れるような低音で囁かれて…俺はほとんど無意識に首を横に振っていた。落っこちそうなティアラをしっかり押さえて、ボスの目をまっすぐ見つめる。
立ちのぼる炎のオーラで、身も心も焼かれちまいそうだった。
そうだ──お前は俺のボスだ。王でもいい、神でもいい。
お前がなりたいものに、俺がする。
「……けど、いいのか? そりゃ結婚は出来るけどっ、俺もう32だぜっ!」
「問題ねえ」
ボスは迷わず、きっぱり言った。少し屈んで、俺の額に唇を寄せて…なんて言うかこう、可愛くて仕方ねぇ子供にするみたいに、チュッチュッと…数えきれないほどのキスをした。
うおぉぉ…かつてないほど愛されてるぜぇぇっ!
「カス、出かけるぞ」
「お、おぅ!」
それでもやっぱりカスなのかよ……
「外は冷える。今から羽織っておけ」
ボスは言いながら俺のコートを取って広げ、ふわりとかけてくれた。まるで王妃様扱いだ。真冬に酒とか氷とか、グラスごと投げつけてくる男と同一人物とは思えねぇ!
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