『第一章』

 十月末──XANXUSを除くヴァリアー幹部は、ボンゴレ九代目専用ジェット機フェニーチェに乗せられ、イタリアに強制送還された。
 それから数日間、スクアーロとルッスーリアは医療施設に収容され、他の者は本部内の懲罰室に一時軟禁されていたが、処分が確定した事を理由に召集された。

「何だぁ、俺が最後かよ」
「あらスクちゃん、まだ車椅子なのね」

 ボンゴレの人間に車椅子を押されて、スクアーロがラウンジに入った時だった。
 自身も車椅子に乗っているルッスーリアを含め、先に来ていた仲間の視線が四方から飛んでくる。
「ししっ、何だよ相変わらずミイラじゃん。治り遅くね?」
 視線だけではなく軽やかに歩み寄ってきたのは、ベルフェゴールだった。
 スクアーロは包帯とギプスでガチガチに固められた体のまま、彼の無傷な顔を見上げる。
「お前が早過ぎるんだ」
 そう言ってから改めて、顔だけではなく首や手も見てみると…無数にあった筈の火傷や打撲、擦過傷が何事も無かったかのように消えていた。
「──さすがは天才だな」
「うん、だって王子だし」
 異常と言いたいところを皮肉っただけだったが、実際問題として、故障しない事も治りが早い事も立派な才能だった。
「それにしてもさぁ、このへん凄いじゃん。こんなパックリいっちゃってて治んの? 傷痕残るんじゃん?」
 彼はそう言いながら、包帯の上から頬をつついてくる。
 そこから覗いている傷が目立つ事は自覚していたスクアーロだったが、傷痕が残るかどうかなど、この瞬間まで一度たりとも考えた事はなかった。
「傷痕……」
「残るだろうね。でもどうやら体の方は回復に向かっているようだよ。僕にはわかる」
 口を挟んだのはマーモンだった。ゴーラ・モスカがいない今、ソファーの隅に一人でちょこんと座っている。
「おい、やめろぉ」
 スクアーロはフイッと顔をそむけるものの…ベルフェゴールの手を払い除ける事はしなかった。
 XANXUS以外の人間に気安く触れられるのは耐えられなかったが、思うまま機敏に動く事はまだ出来ない。
「うわぁ、首も縫い目だらけじゃん。鮫の歯って結構凄いね、何これ一度首チョン切れちゃったわけ?」
「うるせぇぞベルッ!」
「自分でもう見た? ミイラやめたら中からフランケンシュタイン登場とか?」

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