ベルフェゴールが実に愉快げに口にすると、部屋の隅からククッ…と忍び笑いが聞こえてくる。
 紫の夕空に映える窓際に、レヴィ・ア・タンが立っていた。
「レヴィ…テメェッ! 何ニヤニヤしてやがる! 何がおかしいっ!?」
 スクアーロが力いっぱい怒鳴りつけると、彼は体ごと視線を向けてくる。
 武器の携帯は認められておらず、それどころかピアスまで没収されており、人相がいくらか違って見えた。

「これで貴様も終わりだな」

 声を掛けたところで、どうせ無言が返ってくるのだろう…と、無意識にそんな予測を立てていたスクアーロだった。
 耳に飛び込んできたレヴィの言葉に、反応が一瞬遅れてしまう。
「……どういう意味だ?」
「別に」
「う゛お゛ぉい! 別に何だぁぁ!? 俺に言いたい事があるならハッキリ言いやがれっ!」
 激昂まがいに怒鳴りながらも頭は働かせ、スクアーロは向けられた言葉の意味について考えていた。
 確かに今の自分は戦闘員としてすぐに役に立つ状態ではなかったが、指先まで神経が行き届いて動かせるのは確かで、リハビリさえすれば元に戻れる自信があった。
 格下に勝手な判断を下され、「終わりだ」と言われる筋合いはまったく無い。
「おいっ! レヴィ!!」
「先輩、ムッツリはあれだよ。独りでニヤニヤして、まーたヤラシィこと考えちゃってるわけ」
 沈黙したレヴィに代わって口を開いたのは、ベルフェゴールだった。
「はぁ? ヤラシィことって何だぁ?」
「おいこの小僧っ…貴様何を勝手な事を言っている! そもそも人をムッツリとは何だっ!? 侮辱は許さんぞっ!」
「自分で言わないから代わりに言ってやってんじゃん。ブサイクな上に嫉妬深いムッツリくんとしては、『自慢の顔に傷痕が残って、ボスに見限られたらザマァねえな』って、スクアーロにそう言いたいんだろー?」
「……!」
「あ、ちなみにこれはあくまで代弁だから、そこんとこよろしく。俺はむしろ、先輩は綺麗なままのがいいと思ってるよ」
「あらぁベルちゃんたら意地悪ねぇ。美人の方がボスもいたぶり甲斐があって、毎日面白いショーが見れるからでしょ?」
「そうそう、そういうこと」
「それには僕も同意見だね。アレが見られないんじゃ退屈しちゃうよ」
 ベルフェゴールやルッスーリアに加えてマーモンまでそんな事を言い出して、スクアーロは傷が広がりそうなほど血管を膨らませる。

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