口惜しくも、レヴィの言葉が頭の中に木霊する。
物心ついた頃から、人より優れた容姿を持っている事は自覚していた。XANXUSのベッドに入れたのも、信頼を勝ち得たからだけではなく、見目の良さが大前提としてあった事は承知している。
「やめろ、くだらねぇ……」
スクアーロは前屈みになって、鏡面にごつりと額を当てた。
知らず知らずのうちに爪を立てており、キキィッと不快な音が立つ。
「俺は……男妾じゃねぇっ! アイツの、剣士だ……!」
声を発した瞬間だけ曇る鏡に、ゴツゴツと何度も額を当てて、唇を噛み締めた。
たとえどれほど不名誉な傷であっても、戦いの傷を消そうなどと思ってはいけない──…そんな考えを奮い立たせながらも、思い出すのはXANXUSの愛撫ばかりだった。
ベッドの中で時折肌を撫でる大きな手は、滑らかに流れるように動いていた筈だった。けれどもう二度とあの手がそんなふうに動く事はなく、無数の縫い痕に突っかかり、止まるのかと…それ以前に、最早自分の肌に触れる事すら無いのかと思うと、左手を失った時以上の喪失感に苛まれる。
「情けねぇっ!」
スクアーロは自らの拙さを嫌い、意を決して顔を上げた。
いっそ何もかも目にして現実を受け入れ、開き直ってしまおうと決意して、顔の包帯に手を掛ける。
するとその時、扉がガチャリと音を立てた。
別段乱暴に開かれたわけではなかったが、静かな部屋にはやけに大きな音として響き渡る。
「スクアーロ!」
「──…」
開いた扉の向こうから現れた人物の姿に、スクアーロは驚きを超えて呆然とし、目を疑わずにはいられなかった。
「待たせちまってすまねーな、ヴァリアーの連中と鉢合わせしたくなかったんで、だいぶ時間をずらしたんだ」
目を疑ったところで耳は確実にその人物特有の声を捉えており、これは現実に他ならなかった。
「跳ね馬……!」
現れたのはキャバッローネ・ファミリー十代目ボス跳ね馬ディーノと、その腹心ロマーリオの二人だった。
ディーノはボンゴレの同盟ファミリーの中でも三指に入る巨大組織のボスであり、ここボンゴレ本部にいても不思議はなかったが、彼が自分の待ち人だとは思いたくなかった。
「体の具合はどうだ?」
「跳ね馬、何でここにいるんだ? 何しに来たっ!?」
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