──序章──
リング争奪戦から二週間──車椅子や包帯とようやく縁の切れたスクアーロは、ボンゴレ本部地下の大会議室に居た。
義父であるボンゴレ九代目を略取監禁の上、重体に至らしめた罪で未だ日本で拘束されているXANXUSよりも先に、処罰を受ける為だった。
「スペルビ・スクアーロ、お前は正式にヴァリアー副隊長の任を受けてはいなかったが、ボンゴレリング争奪戦直前に副隊長オッタビオが死去したことで、事実上ナンバー2の立場にいた。それはヴァリアーの幹部全員が認識していたことであり、お前はリング争奪戦に於て、すでに副隊長の隊服を着用していた。この事実に相違ないか?」
「ああ、間違いない。俺がナンバー2だ」
スクアーロは両手足を拘束された状態で真っ直ぐに立ち、間髪入れずに答えた。
一般に血の制裁と囁かれるマフィアの懲罰を決定する為に使われる地下大会議室は、中央がすり鉢の底のように低くなっており、重厚な金属製の証言台が設けてある。
スクアーロはそこに手首や足首を括り付けられたまま、高い位置にある大テーブルを見上げていた。
門外顧問沢田家光と、少数の人間を除いてほとんどが覆面を着けており、スポット状の照明は中央にだけ当たっている。
そうでなくともボンゴレ上層部の人間とはあまり接触が無く、誰が誰だかわからなかった。
「最終戦である大空戦の記録によると、お前は他幹部のようにXANXUSに騙されていたのではなく、XANXUSが正統後継者ではないことを八年も前に知っていた。しかし他幹部にそれを教えることはせず、XANXUSの企てに加担した。間違いないな?」
「ああ、俺だけは知っていた」
家光ではない誰かの話す言葉に、スクアーロは再び即答したが、心の内には「俺にとってはアイツが正統後継者だ」という、揺るぎない思いがあった。
「さらに、お前はゴーラ・モスカと呼ばれていた兵器の中に九代目が監禁されていたことや、その生命が危機に晒されていたことも重々承知していた。この事実を知っていた幹部は、お前とマーモンだけだな?」
「ああ……」
次々と変わる声や、声の発せられる方向を気にしながらも、スクアーロは神妙な面持ちでその時を待つ。
これは形式的な事実確認でしかなく、処罰はすでに決まっていると聞かされていた。
「最終確認は以上だ。スペルビ・スクアーロ──お前の罪はXANXUSに次ぎ、極めて重いものと判断された。異論は無いな?」
「あるぜ」
「!」
スクアーロが口端に笑みを浮かべつつ言うと、証言台を囲む巨大な暗がりが俄かにざわめく。
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