「俺の罪は、XANXUSに次ぐようなものじゃない」
「それはどういう意味だ?」
「俺はスラム育ちの悪環境から這い上がる為に、偶然出逢ったボンゴレの御曹司を利用しようとした。己の出自を知ったXANXUSが義父に対して激しい不信感を抱いているのを知って、わざと腕を斬り落し誓いを立て、クーデターを起こさずにはいられないよう追い詰めた。それが『ゆりかご』の真相で、リング争奪戦はその延長にあったに過ぎない」

 頭上に並ぶ人影に向かい、堂々と言い切ったスクアーロだったが、ざわめきが再び起こることは無かった。聞こえて来たのは失笑ばかりで、家光の右隣に座っていた人物が立ち上がるのが見て取れる。

「ここに、亡き副隊長オッタビオの残した報告書がある」
「!」
「ゆりかご以前のXANXUSとスペルビ・スクアーロの関係、そして八年間のヴァリアーの行動について私見も含めて事細かに書かれている。お前が以前からXANXUSとただならぬ仲であったことは、オッタビオ以外にも複数の人間が証言している」
「──…だから何だ? 俺はただ体を使って確実に、XANXUSを籠絡しようと思っただけだ」

 取り乱すことなく言ったスクアーロの声が、明かり取り一つ無い地下の大会議室に響き渡る。他に聞こえる音と言えば、カサカサと…何か菓子の袋のような物を弄っている音だけで、それは家光の左側に座っている人物の手元から聞こえて来た。

「お前がどういうつもりだったかは関係無い。オッタビオの報告書には、XANXUSがいかにスクアーロの体に執着し、その異常なまでの忠誠心を心の拠り所にしていたかが執拗に書かれている。いずれお前がすべての罪を被ろうとすることも予測されていた。また、オッタビオの死後に私室から発見された密告書によれば──エンリコ、マッシーモ、フェデリコの三人の正統後継者を暗殺したのはスペルビ・スクアーロであり、命じたのはゆりかご前のXANXUSとある…!」

 先程立った男は語尾を強めて言うと、分厚い報告書のファイルとは別の、ノート程度の薄い物を掲げて叩いた。

「違うっ、そんなのはオッタビオの奴が勝手に言ってるだけだ! アイツは俺にXANXUSを奪られたと思って逆恨みしてたっ、だからそんな嘘っぱちな密告書を用意したんだ!」
「ここには正統後継者三名の親族や、ゆりかごでお前たちに惨殺された者の身内が大勢居る。決して許されない裏切りを二度に渡って働いたお前たちに、相応の罰を望む者ばかりだ」
「──…!」

 スクアーロはもう一度否定の言葉を投げたかったが、ゆりかごの際にボンゴレ内部の人間を多数惨殺したのは事実であり、半分だけ否定する言葉が上手く出てこなかった。

「ジェッソ、こちらへ──」

 隣に座って菓子を食べているらしい人物に声を掛けたのは、家光だった。

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HOUSEKI-HIME N